2003年末から、翌年初頭にかけてのメンバー交代劇、'04年には新布陣でのミニ・アルバム発表、全国ツアーや大型フェス出演…と、失われた時間を取り戻す以上の勢いで、ART-SCHOOLは動き続けていた。そして'05年9月。『PARADISE LOST』と題したライブ・サーキット、そして同じ名のフル・アルバム― 木下理樹、戸高賢史、宇野剛史、櫻井雄一の4人では初のリリースとなる― を、遂に発表した。今回配信をスタートする5曲は、同作収録曲を含む、ツアー・ファイナルの実況録音である。
取り付きにくく感じる人もあろうバンド名、さらに最新作のタイトルは“失楽園”とある。このアルバムのエンジニア/プロデューサーは、日本ならくるり、英国ならモグワイ、ベル&セバスチャンを手がけるトニー・ドゥーガンという、特定の方面に嗅覚ある方なら飛びつきたいトピックもある。が、「敷居が高い」と言うハナシとは、何もつながらない。
スタジオ盤の数倍増しにエネルギーを放つ演奏陣、不安とロマンチシズムを混濁させたらイノセントになっちまった様な木下のボーカル、そして、ART-SCHOOLを心から求めるオーディエンスのパワー…とてもシンプルなことを、あなたに求めたい。生命力の塊、それを感じられるか?だけ、を。
敷居など、勝手に作ってくれないでくれ。
木下は、どれだけ疾走を見せても、曲の終わりには(とても丁寧に)「ありがとう」と言っている。素直な気持ちだろう。見せたい、聴かせたい…つまり、感じてほしい世界を提示すると、客席からは、幾重も折り重なった“感情の波”が打ち返してくる。嬉しくない訳、ないだろう。残念ながらステージままの連なりを聴くことはできないが、アンコールで披露された「あと10秒で」冒頭のMC、そうとう沸点の高まってるプレイを聴くに、徐々に熱を帯びていった様が想像できよう。
あと10秒で、終わってしまう― 悪い冗談みたいだけど、いつか訪れる瞬間。そんなとき、何がしたいだろう。
この歌では“君に触れること”だけというんだ。
生を終える悲しみなんかより、生をギリギリまで感じていたい。それ以外に、何が意味あることなのかな?
多くの人は、残りの10秒をめそめそと過ごすに違いない。でも、そうじゃないだろう??
美しくなくても、生きた証明を。そんなロックが、鳴っている。(Text/hr)







